静岡県・山梨県 富士山麓
霊峰、日本一の高さ、世界遺産――その名前だけで語り尽くされがちな富士山ですが、少し脇道に入れば、 千二百年前の大噴火が生んだ樹海、江戸っ子が熱狂した謎の登山教団、8合目から上は誰の土地かという いまだ現役の裁判沙汰、地下に眠る溶岩洞窟の迷宮まで、大手旅行サイトがあまり触れない「濃い話」が いくらでも転がっています。噴火の記録と自然の恵み、玄人受けする都市伝説をてんこ盛りで集めました。
富士山を読み解く、四つの鍵
富士山は一つの独立峰ではなく、少なくとも四つの火山が積み重なってできた「ミルフィーユ構造」の山です。 一つは、貞観噴火や宝永噴火をはじめとする噴火そのものの記録。一つは、噴火が生んだ樹海や洞窟、 伏流水といった自然の恵み。一つは、江戸時代に一大ブームとなった「富士講」という登山信仰と、 そこから生まれた数々の人物伝。そしてもう一つは、8合目の所有権や磁石の噂といった、今も語り継がれる 都市伝説の数々。このサイトでは、この四つを中心に、それぞれのページでたどっていきます。
サイトを歩く
それぞれ独立して読めます。興味のあるところから、どうぞ。
4層構造のミルフィーユ火山。貞観噴火が樹海を作り、宝永噴火が江戸に灰を降らせた。
読む →溶岩の上に千年かけて育った森。磁石が狂う? 噂と地質学の答え合わせ。
読む →数十年かけて濾過される伏流水、忍野八海、大手飲料メーカーが工場を構える理由。
読む →風穴・氷穴・溶岩樹型。地表から見えない、富士山のもう一つの地形。
読む →江戸に八百八講と言われた登山教団。断食の末に入定した行者の実話。
読む →「自然遺産」を落選し「文化遺産」で登録された理由。45km離れた三保松原の逆転劇。
読む →8合目より上は誰のもの? 幻の滝、赤富士の正体、洞窟にまつわる祟りの噂。
読む →男装して登った初の日本人女性、外国人初登頂の英国公使、行者・角行の生涯。
読む →吉田のうどん、鳴沢菜、ニジマス。溶岩と湧水が育てる富士山麓の味。
読む →大手旅行サイトがあまり載せない、地元・登山者・研究者に愛されるスポット集。
読む →写真で見る
言葉だけでは伝わらない部分を、実際の風景で。各写真は関連するページへのリンクにもなっています。
概観
詳しい物語は各ページで。ここでは全体の流れだけを。
小御岳の上に、爆発的な噴火を繰り返す古富士火山が成長を始める。現在の富士山の土台がここでできていく。
噴火のスタイルが爆発型から溶岩流出型に変わり、現在の滑らかな稜線を持つ「新富士」の姿が形づくられ始める。
山腹の噴火口から大量の溶岩が流れ出し、「剗の海」と呼ばれた湖を埋め立てて分断。その跡地に千年かけて育ったのが青木ヶ原樹海。
人穴(現在の富士宮市)の洞窟にこもり、独自の修行体系を確立。江戸時代に大流行する富士山信仰のルーツとなる。
山頂ではなく南東の山腹に新たな火口(宝永火口)が開き、江戸の街にまで火山灰を降らせる。以後、噴火の記録は途絶えている。
明治政府の布告により、江戸時代を通じて続いた富士登山の女人禁制がようやく撤廃される。
「信仰の対象と芸術の源泉」として、山体だけでなく25の構成資産とともにユネスコ世界文化遺産に登録される。